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【タイムアタック】ゲームのやり込みって、研究レベルで凄いと思った【考察】

前書き

最近バイオハザードre2にハマっていて連日のようにゲーム配信を視聴している。

多くの配信者はTA(タイムアタック、ゲームのクリア時間を競うもの)に挑戦していて、その努力や成果を観るのが凄く面白い。

昔からゲームが好きでTAやRTA、TAS動画*1など観てきたがその日々の切磋琢磨、試行錯誤はなんだが学術研究にとても似ていると思ったので、自分が感じた類似点をまとめてみた。

 

類似点

・記録を登録する公式の場所がある

・部門ごとに分かれている(人気のあるものから、穴場まで)

・記録を出すにあたって多くの手法が考案される

・手法の発見は地道、でも意外性

 

詳細

・記録を登録する公式の場所がある

まずタイムアタックにはその記録を掲載するサイトがある。それが完全な公式かどうかと言われると怪しいが、現時点で一番よく利用されているのがspeedrun.comだ。海外のサイトで多くのゲーム(全部ではない)とその最速クリア時間、記録を生み出した人、クリア証拠の動画などがランキング形式で掲載されている。面白いのがこの登録が申請式で、走者(タイムアタックをやる人)はまず記録をその録画(アーカイブ)とともに申請して審査されるのだ。そこでズルがないか、ルールに準じているか観られ問題なければ無事記録として登録される。走者にとってはここに掲載される=公式として認定される、となる。

 

 

このまずクリア動画を撮る(大抵は生放送として配信したり、配信のアーカイブを動画サイトに乗せる)→記録がでればspeedrun.comに申請→審査を通ってランキングに形式という流れがなんだか論文の査読、投稿の流れに似ていて非常に面白いと感じた。学術論文自体はspeedrun.comのように1つのサイトに集約されているわけでなく、google scholarや各分野の論文誌に結果として掲載されるわけだが、それでもこのまずローカルで記録を出す→審査→掲載という流れは似ていると感じた。

 

 

 

 

 

・部門ごとに分かれている(人気のあるものから、穴場まで)

実は1つゲームに対し、1位は1人だけとは限らない。同じタイトルでもその中にまたいろんな部門がある。例えばバイオre2だとまずプラットフォームがPC版がコンソール版(ps4とかの据え置きゲーム機)でそれぞれ分かれる。これはPCとコンソールで操作コントローラーやfps(フレームレート)などクリア時間に依存する環境が大きく違うからだ。例えば銃で狙うにしてもps4のようなコントローラーでやるのと、マウスでやるのでは後者の方が圧倒的に速い。そんな感じでクリア時間に大きく影響する要素に関しては、どのゲームでも記録を分けて載せている。

 

さらにゲームによっては難易度の違い(ノーマルかハードか)、NewGame+か否か(全く新規データでやるか、それと引き継ぎ要素ありで最初からやるか)、さらにグリッチ(いわゆるバグ)を使っていいかどうか、など条件によって1つのゲームでも部門が複数ある。*2

例えばバイオre2ではプラットフォーム、難易度、レオンクレア編、フレームレートなどの違いからバグありを除いてもなんと30個以上も部門がspeedrun.comには掲載されている! これだけ分かれていると必然的に穴場、つまりあまり競われておらずランキング上位になりやすい部門もあったりする。逆に人気の部門では、毎日のように大勢の走者がそれこそ何時間も繰り返して記録を狙い、非常に短いスパンで記録が更新される。

 

研究や論文も人気のあるものはその業界の人たちが血眼になって競っているため当然結果のハードルが高く、そして更新頻度も高い。しかしちょっとズレた穴場の領域を狙えば意外と自分が第一人者になれたりする。そういう部門の多さと競争率の密度の観点からもすごい似ているなぁと感じた。

  

 参考:バイオre2のタイムアタックの記録(いっぱい部門がある)

Resident Evil 2 (2019) - Leaderboard - speedrun.com

 

 

 

・記録を出すにあたって多くの手法が考案される

結果を出すのに当たって重要なのが手法やルート(攻略手順)タイムアタックでも各ゲームで様々なテクニックが存在し、有名になものでは名称がついていたりする。有名なのはマリオ64のケツワープ(海外ではBackwards Long Jump)だったり、ゼルダ時のオカリナだとESSとかOI(Ocarina item)とかWW(wrongwarp)もう略称になっててわけわらん手法がいっぱい。どの手法にもだいたい考案者がいて、目的のためにいろんな方法が使われている。手法だけでなくルートについても(あまり名称はないが)最適化のため、物凄く考案される。

 

参考:ゼルダ(時オカ)のテクニックとそれを利用したRTA。もはや何をやっているのかさっぱり・・・

Extended Superslide - ZeldaSpeedRuns

www.youtube.com

  

既出の有名な方法、ルートに加えて、様々な新規手法を組み合わせてみて、早くなるか試してみる。いろんな手法とルートの積み重ねにより微々たるだが記録が更新されいく。1.0sの更新のために、手法(ルート)の見直しと最適化が血眼のようにされるのも珍しくない。・・・と思えば、いきなり奇抜な新規手法の発見によって大幅な記録の更新がされ、これまでのちまちまとした手法の見直しが泡と化すこともある。

 

既存手法の改善、最適化、新規手法の考案。ちょっとでも今までよりプラスになるよう組み合わせを考えたり、試行錯誤してみる。と思ったら思わぬ新規手法によってこれまでの既存手法がオワコンになる・・・ なんて部分はもはや研究の領域になってるなと感じた。

 

 

 

 

・手法の発見は地道、でも意外性

手法の発見のされかたも面白い。だいたいタイムアタックで何回も走ってるうちに確立されていくものもあるし、あるときアレ?これなんでこんな動作するの?というおかしな現象を偶然発見し、それが思わぬバグや短縮のキーに繋がったりする。そして勿論、活かせないこともある。

 

下の動画はFF6において低歩数攻略(一番少ない移動数でクリアを目指す)でいろいろな発見を考察しているものである。FF6はいろんあ縛り(条件付きクリア)とそのためのテクニックが研究されており、FF6学会』と名称さえるほどいろんな解析がされていて面白い。ちなみにこの投稿者は自分で発見した手法により、自分の過去の手法(ルート)が泡と化すようなマゾプレイを日々繰り返しており、その経過も動画として載せて非常に面白いものとなっている(何をやっているのかさっぱりだけど)。yahooニュースに動画が載ったりするなど、すごいことをしている。

 

www.nicovideo.jp

 

 こんな感じで日々いろんな試行錯誤や偶然から何かを見つけたと思って考察してみたらうまくいったり、いかなかったり・・・。地道な作業の繰り返しだけど、過去の研究がある日思わぬ形で成果に繋がったり。このあたりが非常に基礎研究と似ているなぁと感じた。

 

 

 

 

・余談

ゲームによっては解析ツールを使って研究するものもある。解析の過程で十数年越しにゲームの隠し要素が発見されることも。

https://www.gamespark.jp/article/2017/02/02/71365.htmlnlab.itmedia.co.jp

www.gamespark.jp

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ゲームの解説画面。下手な発表資料よりクオリティ高いと思います・・・。

もうここまでくると立派な研究だよね・・・

 

 

 

あとは最近やばいと感じたのがこれ。

www.nicovideo.jp

ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド(botw)の100%RTA動画である(100%とはゲーム内の全ての収集物を集めること)。このゲームをプレイした事がある人にはわかると思うが100%なのでもちろんあのコログ900個収集も含まれる。マップ探索率100%も・・・。クリア時間を見たらわかると思うがなんと37時間となっている。これが何がヤバイかったRTA(リアルタイム)、つまり現実で37時間ゲームをし続けないといけないのだ。しかも最速のスピード勝負。死ぬで。

 

流石にRTAでこれはやばいとなったのか最近ではbotw100%rtaに関しては間に9時間の休憩を2回までとってOKとなっている*3。本来RTAとはゲームクリアにおける現実時間したスピード勝負なので、休憩はありえないのだが、流石にクリアにまる一日以上かけないといけないRTAとなると健康上の理由より設けざる負えなかったんだろう。そうしないとトイレの最適化とかオムツしたもんが価値みたいになっちゃうもんね。

 

話は戻ってこのbotw100%rta動画、完走して世界2位の記録を出しているだけでも十分すごいのだが、これを編集して非常に丁寧な解説動画(しかもボカロ解説付き)であげているところにもはや変態さを感じざる負えない・・・すごい。

 

 

 

 

まとめ

自分はゲームが好きで配信を見るのもとても好きた。自分自身がタイムアタックに挑戦することはあまりないけど、やってる人やその経緯をみると本当に凄いと思い、なんか研究に似ているなぁと感心したのでその類似点をまとめてみた。

 

・記録を登録する公式の場所がある

・部門ごとに分かれている(人気のあるものから、穴場まで)

・記録を出すにあたって多くの手法が考案される

・手法の発見は地道、でも意外性

 

少々大げさに表現したかもしれないがこの世界は本当に面白いと思った。TAだとそういう理論的な手法に加えて、リアルタイムで実行する走者の力量も必要になってくる。こうなると今度はスポーツにも通ずる領域だなぁと思っている。結局、何が言いたいというとゲームをやり込む人、面白い、凄い。

 

 

 

 

 

 

*1:今回述べたTAに関しては、RTAや,TAS、スピードランなどいろいろ存在し、それぞれ解釈やルールが事なってくる(TASとかはもう別の領域)。1つずつその違いを説明すると長くなっちゃうのでSpeedrun用語集:研究所 - ブロマガを参考にしたり、ググってね。あとTAの他にも縛りプレイ(自分たちで厳しいルールを設けてクリアすること)も存在する。とにかく今回の記事では『いかに早くクリアできるか、厳しい(変態な)ルールでクリアできるか、という目的のため試行錯誤』という非常にざっくりとした範囲で扱わせて頂きました。

*2:その他にもクリア条件によって別れていることもある。例えば複数エンディングがあるゲームの場合、真ENDじゃないとだめな部門、BADENDでもいいので最速エンディングを出せばいい部門、などで分かれている。あとはゲーム内のすべての収集物を集め終えることを条件とした100%クリアなどのジャンルモある

*3:

The Legend of Zelda: Breath of the Wild - Forum - Changes to Leaderboard Rules (09/27/2018) - speedrun.com